ヒマが窓に付箋をばんとはがした。「募集中:プリンセス」。ガラスにウィンクする。ぷつり。金色のフライがこぼれ出し、ブレスレットみたいに手首を巻いていった。
小さなフライの王冠が額にそっと乗った。外では、どカーンの「イッペー!」が静けさをぶち壊した。ルミ、ミーラ、ゾーヤKポップが、キラキラの粉とベースのビートにまといながら、割れた窓からバーンと突っ込んできた。
四人が窓辺から浮いているフライの空へジャンプ!スニーカーがふわふわ雲にこすり、すくりすくり音がした。下を見れば、ラプンツェルの塔がネオンのKポップ広告でぐるぐる巻きに、高くそびえている。ミーラが横を飛んでいくフライをがぶり——「カッキンッ!」「これ、想像よりずっとクールだわ」と宣言した。
彼女の髪は、まるで金色の縄梯子のように、木の舞台まで垂らされていた。でも舞台は空っぽで、しーん。ゾーヤKポップが足踏みしながら言った。「ビートがなきゃダメ。ビートはどこ?」
ヒマが浮いているフライをバシッと踏みしめた。ぱきん!と割れて中から小さなドラムが出てきて、ぽんっ、ぽんっ、と心細いビートを打った。ルミが長いフライをマイク代わりに掴んで、ラップダンスを始めた。
ミーラがラプンツェルの髪を編んで、ピンクののぼりを作った。ぱたっ!と人垣の上でひるんだ。塔の上からラプンツェルが叫ぶ。「最後の音が足りないよ!」
彼女は一本の糸に金色のフライを結びつけて、振り子みたいにゆらゆら揺らしていた。ヒマが揺れるフライへ飛び出すのと同時に、ゾーヤKポップがベースをドンと叩いた。
ミーラののぼりがパンッと張りつめ、ルミのラップが音節の途中でぴたっと止まった。ヒマの手のひらの下でフライが青く光り、そして百個の金色の煌めきに割り散らされて、王国じゅうに降り注いだ。
ふぅっと息を止める一瞬、空にあるすべてのフライがほっ、と光った。そのあと、四人が「イッペー!」と一緒になって叫んだ。その言葉がリボンみたいに、雲の中をぐるぐるとほどけていった。
ヒマが浮いている舞台の縁にちょこんと座り、脚をフライの空の方へぶらさげていた。少し歪にのったフライの王冠はまだ頭の上に乗っている。ルミがラプンツェルにKポップの手振りを教えていた。
ミーラがフライを髪に編み込み、ゾーヤKポップが雲の上でどっくんどっくんのドラムをリミックスしていた。ヒマは最後の金色のフライを歯の間にはさんで言った。「明日も同じ時間に?」
ネオンの広告がやわらかなラベンダー色に暗くなっていく中、ラプンツェルが塔の上から手を振った。「明日も同じ時間に!」