にぎやかなまちに、お店がずらりと並んでいました。コソベくんは、小さなおもちゃをじっと見ています。
コソベくんは、おもちゃをポケットへすべりこませました。カラン、とドアベルが鳴りました。
コソベくんは、知らん顔で歩き出しました。ポケットの中で、おもちゃがカタリと動きます。
つぎに、色えんぴつを一本。また一本。ポケットは、どんどんふくらみました。
歩くたび、カタカタ、カタカタ。コソベくんは、音を止めようとポケットを手で押さえました。
「ちょっと、待ってください」警察の人が、コソベくんを呼び止めました。
警察の人は、お店の人から聞いたことをたずねました。コソベくんは下を向き、品物を一つずつ出しました。
クラクションが、プップーと鳴りました。コソベくんは、小さく「ごめんなさい」と言いました。
コソベくんは、先生のところへ行きました。先生は「うそや盗みはいけないよ」と、ゆっくり話しました。
コソベくんは、返す品物を両手で持ちました。くちびるを、きゅっと結びました。
コソベくんは、お店へ戻りました。店の人の前で、品物をそっと差し出しました。
「もう、こっそり取らない」コソベくんは、まっすぐ言いました。店のドアベルが、チリンと鳴りました。
今度は、自分のお金で色えんぴつを買いました。コソベくんは、それをしっかり握りました。
コソベくんは、先生のもとへ歩きました。手の中の色えんぴつが、夕日にきらりと光りました。