くろくんはクレヨンのはこのすみで、ぽつんと一人。
ほかのクレヨンたちは毎日選ばれていく音がする。きしきし、きしきし、はながさいた。きしきし、きしきし、うみがえった。
くろくんはそっとふたをして、まるまった。
ある朝、大きな手がはこをあける。
「くろで描こう!」子どもがくろくんをにぎりしめる。
机の上でくろくんははしりだす。くろくろ、くろくろ、くろのせんがのびる。
だが、子どもはとまらない。くろくんはぐるぐるまわり、どろどろまぜ、ぱたぱたはらった。
くろくろ、くろくろ、どうぶつがあらわれた。くろくろ、くろくろ、おはなも、そらも、おやつのすみずみまで。くろくんははじめてのった。