駅の改札前を、たかしは大きな荷物を両手に抱えて、よろよろ歩いていました。荷物がずるりと落ちかけ、「わっ!」と声が出ました。
たかしは荷物を持ち上げようとしました。でも、びくともしません。改札からピンポーンと音がして、「どうしよう」とつぶやきました。
たかしが立ち止まっていると、優しいおじさんが近づいてきました。おじさんは荷物の片側を、そっと支えました。
「せーの!」二人で持ち上げると、荷物の中からぽんっと帽子が飛び出しました。たかしは目を丸くしました。
駅を出ると、二人は商店街の歩道をゆっくり進みました。荷物はガタゴト鳴り、たかしは「ありがとうございます」と言いました。
荷物がまたガタゴト鳴りました。おじさんは「もう少しだよ」と笑い、二人は足並みをそろえました。
家の近くで、たかしは荷物を受け取りました。おじさんに深くおじぎをすると、「ありがとう」が夕方の道に響きました。
たかしは荷物をしっかり抱えて、家へ歩き出しました。背中の向こうで、駅へ帰る足音が小さくなっていきました。