ブナの森が、そっとうっすらめをとじている。森のはずれに、はっぱとこけでできたちいさなおうちが、三つ、すうすうとかがっている。ひかりが、やわらかく、やさしいむらさきいろにかわっていく。
フィプスが、ふしのうえをコロコロころがっていく――ぶつっ!ひかる貝が三つ、ぼうしんりのやわらかいひかりのなかで、ぽんぽんとときめいている。フィプスは、ぴたりと足をとめた。
そっと、ひとつの貝をひろいだす。ひつこのなかで、あったかくてくすぐい。ちいさな太陽のハートみたい。
フィプスは、てぃすりとつかっていった。貝は、そのすべで、やわらかくともし光っている。「あのうしろの、あのうさぎちゃんへ、ね」と、フィプスはかんがえる。
たかいけのなかで、うさぎちゃんがぶるぶるふるえている。フィプスは、かなをのばす。あったかなひかりが、うさぎちゃんのとがんだみを、そっととかしてあげる。
うさぎちゃんは、ひかりのにおいをくんくんする。まなざしが、ふっくら大きくなって――「おぉっ!」すーっ、とささやいて、ちいさなくちびるが、にやりとゆるんだ。
フィプスは、かけだした。ふたつめの貝が、ひつこのなかでドキドキとうっている。まえの、たかいけが、ゆらゆらゆれてくる。
かのこちゃんが、かげからにげだしていた――でも、ぴたりととまった。ひかりが、ちいさなつのきに、にこりをさしてあげる。かのこちゃんは、フィプスのあとをついてきた。
ぴかり。ぴかり。ぴかり。みっつの貝が、せーの、でおしゃべりしている。フィプスは、まばたきする。「あれ、なんか、ぶくぶくしてる?」
さいごのひかりが、みちのそばをさっと指して、ようこそと言っている。そこに、ちいさなくるまかいのいがいしが、を待っていた。
フィプスは、かなを、くるまかいのいのひつこのなかにおいた。三つのひかりが、いしょに、おうじろいろのみちを、えがいてくれる。
みんな、あったかなこけのなかにもぐりこんで、あったかに、くたえたい。森が、おおきく、きのみをこむ。ひかりが、そっとうたた寝をはじめていく。