朝の森。古樹の幹は、ひびと苔にうたれた。
パン太は古樹の影にしゃがみこみ、葉の形に切ったパンケーキを両手で抱え込んだ。
カシュカシュ、大きくかむと、蜜が唇の端からしずくで落ちた。「全部、自分のもの」と、パン太は思った。
幹の裏からウサギの耳がぴょこんと飛び出し、枝越しにリスのしっぽが揺れた。小鳥が「ぴ…」と鳴いた。
パン太はパンケーキを背中に押しやり、口をへらりとはいた。
ウサギの耳がだん、と地面に触れ、リスのしっぽがぴんと伸びたまま止まり、小鳥は葉の裏に丸まっていた。
最後のひとくちをかむ——何も、味がしなかった。空の皿が、ぽん、と落ちた。
パン太は残り一枚を四つにちぎり、葉の皿に並べた。
ぴょん、ぴょん。ウサギがびくっと跳ね、リスが丸まり、小鳥がパン太の鼻先に着いた。「一緒に、食べて!」
カシュ、カシュ、カシュ——三口が同時に音を立てた。昨日より、百倍、甘い。




